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「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」が結構良かった件

こんにちは。

 

昨晩「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」を読んだんですが、思いの外良かったので備忘も兼ねて記事化しておきます。

 

新書のボリュームにしては内容が濃くて良かったというのが雑感です。

メインの論旨とキーワード中心に紹介したいと思います。

 

 

世界のエリートが美意識を鍛える理由

 

結論から入りますが、

これまでのように分析・論理・合理性を追求するだけでは複雑で変化の早いビジネスの世界に対応できないから

というのが理由です。

 

VUCAという単語も最近はよく聞くようになりましたが、そういう社会においてこれまでのようにロジカルな思考を突き詰めるだけではビジネスを継続的に成功させていくことはできないということですね。

論理性が不要になったのではなく限界が見えてきたという点には注意が必要なのですが、じゃあ論理性の限界を越えるために何が必要なのかというところで注目されているのが美意識ということですね。

 

本の中でいろんなキーワードが出てきたのでそれになぞらえながら美意識とは何か、何が良いのかについて触れていこうと思います。

 

正解のコモディティ化

コモディティ化というのは日本語で言うところの同質化みたいなものですね。

要は、ビジネスにおいてみんなが論理や合理性を突き詰めると自ずとみんなが合理的に正しいと思われる結論に行き着くことになり、結果としてお互いを差別化できなくなるということです。

 

論理や合理性に基づく考えをサイエンス、感性や直感基づく考えをアート、経験に基づく考えをクラフト、と本の中では呼んでいますがアートよりもサイエンスを重視した意思決定を行うと正解のコモディティ化が起こると著者は指摘しています。

 

論理的思考と言うのが正解を出すための技術である以上、みんながみんな論理的思考でビジネスを行うと自ずと同じような結論に至り結果としてレッドオーシャンになってしまうということですね。

 

以上から、サイエンス偏重の経営に対してアートの考えを取り入れていこうとしているのが今のビジネスエリートの動向だというわけです。

 

アカウンタビリティの格差

じゃあ、感性を重視したアート的経営に切り替えればいいじゃないかという話になるのですが、それもそう簡単にはいきません。

その理由の1つがアカウンタビリティの格差です。

 

アカウンタビリティとは、その意思決定の理由や背景を後から説明できることです。

アカウンタビリティの話で言うと、アートは必ずサイエンスやクラフトに負けてしまいます。

サイエンスやクラフトは過去の経験やデータに基づいて根拠を持って説明できるのに対して、アートは感性や直感といった曖昧な根拠しか持ってないからです。

判断の理由をステークホルダーに伝える時、どちらの方が納得感を得られるかは自明な訳です。

こうして、論理的で合理的な意思決定が企業内で重視されることとなるのですね。

 

とはいっても、そのような意思決定のスタイルに限界がきていることはすでに指摘されているわけですからそれを乗り越える必要があるわけです。

そのための考え方として著者が主張しているのはリーダーシップ、アートのガバナンスです。

 

論理性というのは、突き詰めればみんな同じような結論に至るわけですからひたすらそれに基づいて意思決定するのならば、極端な話経営者なんてものは誰がやっても対して変わらないわけです。

アカウンタビリティに過剰に傾倒することはリーダーシップの放棄につながると著者は指摘しています。

全てを論理的に説明できるわけではないが魅力的なビジョンを描いてそこに向けて舵を切ることができるリーダーシップがあれば、経営にアートを取り入れることができるんじゃないかというのが解決策の1つです。

 

もう1つ、アートのガバナンスというのはアートに対して権限委譲をするという話です。

トップがアートになりその脇をサイエンスとクラフトが固めるという構図を作ったり経営者直々にアートに対して大きく権限委譲したりすることがそれに当たりますね。

具体的な事例としては、アップルのスティーブ・ジョブズユニクロにおける佐藤可士和さんなど。

 

アートはアカウンタビリティが弱いわけですから、勇気を持ってそれを受け入れて推進していくことがアートを経営に取り入れるためには必要だということです

 

実定法主義と自然法主義

ざっくりいうと、実定法主義というのは明文化されたルールこそが全てとする考え方で自然法主義というのはルールとは関係なく「真・善・美」に則っているかどうかを重視する考え方です。

 

倫理的にどうかと思うが法に触れてはいないものを良しとするのが実定法主義の考え方ですが、これは今後通用しなくなるというのが著者の主張です。

過去の事例で言うとライブドア事件WELQ問題がありますが、これらはルール化されていないグレーゾーンで法には触れないが倫理的にはアウトなビジネスを行なっていたものです。

 

要は、世の中の変化が早すぎてルール化が追いついていないという状況が最近は普通に起こるようになっていますが、情報がどんどんオープンになってきて不正がすぐに広まるような世の中ですからあくどいことをすると後で痛い目を見る可能性がかなり高くなっているということですね。

最近で言うと仮想通貨界隈のICOとかはその類なんでしょうね。

 

なので、変化の激しい世の中では自然法主義的に生きた方が良いということです。

 

 

おわりに

いくつかのキーワードを中心に本の内容をまとめてみました。

結局美意識ってのは、スタンス・ビジョン・使命感・倫理観・哲学・審美眼とかそういうものを包含した概念なのかなというのが自分の理解です。

奥が深いんだとは思いますが、大まかな方向性としてはあっていると思います。

 

 

また、個人的な経験と照らし合わせて「そういうことだったのか」と思う点もたくさんありました。

  

例えば、「1人1人のアイデアや独創性を大切にします」的な話が思っていたよりも叶わないことが多かったり、組織で仕事するときに窮屈さを感じたりするのはアートのアカウンタビリティの問題なんだな、と思いました。

 

本の中では、アートのプロフェッショナルのは話がよくでてきましたが現場レベルでも仕事にアート的な価値観を取り入れるにはどうしたら良いかというのは難しい問題だと感じました。

自分は会社でそれをするのは諦めて個人でやる方向にシフトしていますけどもね。

 

また、ロジカルシンキングの限界論は最近よく聞くようになりましたが、あくまで限界が見えただけであって価値がなくなったわけではないのでそこを勘違いしちゃいけないなというのは常々感じます。

一方で、アート的発想が優れたものなのかどうかを見極める目を養うのも大事だな、と思いました。

 

 

最初にも言いましたけども、新書のボリュームにしては示唆に富む議論が詰まっていたと思うのでこの本はかなりオススメの部類に入りますね。

興味ある方は是非読んでみてください。

 

 

おしまい。